最終確認 2026年6月17日 · 約34分で読めます
結論
深センで外国人が実際に出くわす中国語スラングをまとめました。YYDSの意味、チャットが666で埋まる理由、内卷や躺平まで、中国のネットスラングと街の言葉を、ピンインとカタカナ読み付きで紹介します。中国語の先生が教えてくれなかった言葉です。
- 文脈が大事: スラングはコミュニティやプラットフォームによって変わります。会話でまねる前に、その言葉がどう使われているかを見てください。
- まずはこれから: 加油(jiāyóu/ジャーヨウ)は応援、666はネットでうまさをほめる言葉、88(拜拜 bàibài)はくだけたチャットの「バイバイ」です。
- 会話のテーマになる言葉: 内卷(nèijuǎn/ネイジュアン)は消耗するだけの競争、躺平(tǎngpíng/タンピン)はそのプレッシャーから降りることを指します。
- 大事な違い: XSWLやAWSLなど、ネットの略語の多くは文字だけの言葉で、声に出すと不思議そうな顔をされます。牛逼(niúbī)は下品ですが、友人同士なら誰でも使います。
教科書が教えてくれない中国語スラング
中国語スラングは、どの教科書にも載っていない中国語です。何か月もかけて「今日はいい天気です」「りんごを2斤ください」を覚え、四声も言えるし、了と过の違いも分かる。それなりに準備はできたつもりでいました。
ところが深センに着いてWeChatを開くと、届くのは「666 YYDS」。DiDi(滴滴)の運転手は内卷がどうこうとつぶやき、ミルクティーの店の店員の話は4割がネットの略語です。教科書の中国語と現実の中国語は、まったく別のOSだと気づきます。
中国語スラングは、ネット上のどの言語よりも速く変わります。その多くは深センのテック文化から生まれています。テンセント(WeChatの会社)、ファーウェイ、DJI、中国のスタートアップの半分が集まる街なので、ミームは勝手に生まれてきます。抖音(Douyin、中国版TikTok)がそれをさらに加速させ、ゲームの内輪の言葉がタクシー運転手の口から出るようになるまで3週間ほどしかかかりません。
先生が教えなかったのは、知らなかったからではなく、どのカリキュラムも追いつけないからです。ここでは、深センで実際に出くわす中国語スラングと中国の若者言葉を50語、出会う場面ごとに分けて紹介します。最初は、真っ先に目にする2つからです。
各語は簡体字、ピンイン、カタカナ読み、意味の順に書いています。画面に出てくるのは簡体字なので、スラングそのものは簡体字のままにしました。
YYDSと666の意味:最初に目にする2つ
YYDSは永远的神、「永遠の神」で、英語でいうGOAT(史上最強)。666は「すごい」「うまい」。どちらもWeChatのグループ、抖音のコメント、ライブ配信のチャットにあふれています。
YYDS(永远的神 yǒngyuǎn de shén/ヨンユエンダシェン):「永遠の神」=史上最強
直訳すると「永遠の神」。2021年ごろにゲーム文化から抜け出して、そのまま定着しました。リーグ・オブ・レジェンドの選手がありえないプレーを決めると、チャット欄がYYDSで埋まったのが始まりです。今では何にでも使います。いつ行っても2時間待ちの火鍋店?YYDS。締め切り前にプロジェクトを終わらせた同僚?YYDS。ジェイ・チョウ(周杰倫)?永久にYYDSです。
要するに英語のGOAT、日本語なら「神」「最強」ですが、中国語らしい大げささが加わります。Y-Y-D-Sとアルファベットをそのまま声に出して言う人もいて、それがちょっと滑稽なところも含めて面白い言葉です。
666(liùliùliù/リウリウリウ):「すごい」「うまい」
中国のネットスラングの元祖です。666は「なめらか」「手際がいい」を意味する溜(liū)から来ています。ゲームの神プレー、一発で決まった縦列駐車、ボトルを3本同時に回すバーテンダー。誰かがすごいことをすると、チャットが666で埋まります。
日本のネットで「うますぎ」「神」がコメント欄に流れる感覚に近いものです。ライブ配信、コメント欄、WeChatのグループで目にします。誰にでも通じて、誰に使っても安全で、ちゃんと見ていた人だと思ってもらえます。
6が多いほど感心しています。6666666ならスタンディングオベーションです。
中国のネットスラング:WeChatと抖音で見る言葉
WeChatのグループ、抖音のコメント、ライブ配信のチャットなど、ネットのどこでも目にする中国語のネット用語です。地下鉄で隣の人のスマホ画面がつい目に入ったとき(誰でも見ています)、そこを流れているのはこういう言葉です。
XSWL(笑死我了 xiào sǐ wǒ le/シャオスーウォーラ):「笑い死ぬ」=爆笑
漢字の入力は英字よりタップ数が多いので、略語が幅を利かせています。XSWLは笑死我了(笑い死にそう)のピンインの頭文字で、日本のネットでいう「草」「wwww」と同じ温度です。グループチャットやコメント欄、誰かがばかなことをしている動画の下で見かけます。
AWSL(啊我死了 ā wǒ sǐ le/アーウォースーラ):「ああ、死んだ」=尊すぎて無理
かわいさが限界を超えたときの略語です。猫がおかしなことをしている写真、赤ちゃんの愛らしい抖音の動画、推しが特にかっこよく写っている写真。そんなときにAWSLです。日本のオタク言葉の「尊い」「無理」にあたり、ほぼかわいいもの、甘いもの、心がとろけるものにしか使いません。
ひとつ大事な違いがあります。XSWL、AWSL、アルファベット表記のYYDSなど、ネットの略語の多くは文字だけの言葉です。「XSWL」と声に出して言うと、かなり不思議そうな顔をされます。YYDSはたまに話し言葉にも出てきますが、ほかはWeChatと抖音のコメントの中だけにとどまっています。迷ったら、話すときは笑死我了のように元の中国語で言い、略語は打つときだけにしましょう。
哈と哈哈哈:哈の数が大事
このガイドの中で、実際のやりとりにいちばん役に立つ話です。哈がひとつだけなら笑いではありません。WeChatでの「了解」か、軽い気まずさです。英語のそっけない「k」に近いと考えてください。哈哈と2つなら礼儀としての相づち、哈哈哈と3つ以上で本当に笑っています。日本語の「笑」や「w」の感覚でひとつの哈を好意的に受け取ると、相手の温度を読み違えます。
WeChatでは外国人が必ずここでつまずきます。メッセージを送って「哈」と返ってくると、うまくいったと思ってしまう。実際はそうでもないか、少なくとも思ったような反応ではありません。温度感は「面白いね」ではなく「はい」に近いものです。
迷ったら、受け取った哈と同じ数かそれ以上で返しましょう。哈哈哈哈哈と来たら相手は本当に笑っています。哈がひとつなら、話題を変えたほうがいいでしょう。
yysy(有一说一 yǒu yī shuō yī/ヨウイーシュオイー):「正直に言うと」
これもピンインの略語です。「ありのままに言うと」という意味で、人気がなさそうな本音の前に置きます。「yysy、みんなが並んでるあの新しい火鍋店、正直ふつう」。本音を言う前の前置きで、日本語なら「ぶっちゃけ」です。
绝绝子(juéjuézi/ジュエジュエズ):「最高すぎる」
抖音時代を代表するスラングです。绝は「この上ない」という意味で、末尾の子は何でもかわいく大げさに聞こえさせる抖音らしい言い回しです。料理が理不尽なほどおいしかったとき、景色に思わず足が止まったとき、绝绝子です。ただし、もう寒いと感じる人もいます。中国のネットスラングはそれくらい速く入れ替わります。
破防了(pòfáng le/ポーファンラ):「防御を破られた」=心をやられた
もとはゲーム用語で、相手に防御を突破されることでした。今は感情を揺さぶられる、心がいっぱいになることを指します。初めて孫娘に会うおじいさんの動画?破防了。配達の合間に大学入試の勉強をする配達員のニュース?破防了。
悲しさだけではなく、心の壁にひびが入るその瞬間のことです。深夜2時にスクロールしていて不意に見たものに心を動かされる、あの独特の感覚に名前をくれたので、中国のネットではとても好かれています。
社死(shèsǐ/シャースー):「社会的な死」=恥ずかしすぎて消えたい
自分に手を振っていたわけではない人に手を振り返したとき。母親が家族のグループチャットに自分の赤ちゃんの頃の写真を流したとき。ショッピングモールでガラスのドアにぶつかったとき。それが社死、社会的な死です。
日本語でいう「恥ずかしすぎて死ぬ」と同じ感覚を、2文字に詰めて強くした言葉です。中国の若い人は、職場やデートで起きたことを話すときによく使います。
(深セン限定の注意:この街のモールでガラスのドアにぶつかる危険は本物です。床から天井までのガラス張りが本当に多いのです。)
摆烂(bǎilàn/バイラン):「腐るにまかせる」=投げやり、静かな退職
プレッシャーが限界を超えて、頑張るのをやめること。ちゃぶ台をひっくり返すような劇的なものではなく、このレースは走る価値がないと静かに受け入れる感じです。深センではどこでも耳にします。多くは996(朝9時から夜9時まで、週6日)で働き続け、効率を追うのはもうやめたと決めたテック系の会社員からです。
摆烂は後で出てくる躺平の親戚ですが、もっと怠惰です。躺平は生き方の主張で、摆烂は取りつくろうのをやめただけ。部屋が散らかっている?摆烂。試験勉強をしなかった?摆烂。3晩続けてカップ麺?摆烂です。
仕事と暮らしの中国流行語:内卷・躺平・打工人
今の中国の暮らしを本当に説明してくれる言葉たちです。中国の友人がいつも疲れて見える理由、話がいつも住宅価格に行き着く理由、誰もが公務員試験について一家言ある理由。このセクションがその解読表になります。
内卷(nèijuǎn/ネイジュアン):「インボリューション」=勝者のいない消耗戦
今の中国を表す言葉といえばこれです。この記事でひとつだけ覚えるなら、この言葉にしてください。
内卷はもともと、努力を重ねても前に進まない社会を指す学術用語でした。全員が速く走っているのに誰も前に進まない軍拡競争のようなものです。実際には、今の中国の暮らしで「罠」のように感じられるあらゆることを指して使われます。
子どもが周りに遅れるのが怖くて、親が塾を増やす場面を思い浮かべてください。増やした分の効果はほとんどなくても、やめるのは危ないと感じてしまう。その競争の循環が内卷です。
深センのテック業界では、仕事がそれほどあるわけでもないのに夜11時まで残る理由がこれです。同僚が夜10時まで働いていて、先に帰るとキャリアに響く気がするから。生産性の差はゼロでも、見られているというプレッシャーは本物です。
会話でこの言葉を使うと、中国の人の見る目が変わります。食べ物のことを聞いてくる観光客ではなく、このプレッシャーを分かっている人になれます。
躺平(tǎngpíng/タンピン):「寝そべる」=競争から降りる
内卷への対抗運動です。内卷が病気なら、躺平はひとつの処方箋。ただ、参加するのをやめる。家を買わない。出世の階段を上らない。世間がそう期待するからといって結婚しない。食べていける分だけ働いて、残りの力は本当に好きなことに使う。
躺平が全国的な話題になったのは2021年ごろです。ある男性が、日雇いの仕事をしながらほとんどの時間をのんびり過ごし、月200元で暮らしているという投稿をしました。何百万人もの中国の若者がそこに自分を重ねて、投稿は一気に広まりました。
政府は快く思わず、国営メディアは勤勉の大切さを説く社説を出しました。それでも言葉は残りました。深センでは両方の声を聞きます。ハッスルを信じて走り続けるテック系の人たちと、静かに躺平の暮らしを選んだ人たち。この二つのあいだの緊張は、この街でいちばん面白い文化の流れのひとつです。
打工人(dǎgōngrén/ダーゴンレン):「雇われ人」=自虐する会社員
直訳は「人に雇われて働く人」。始まりはミームで、「おはよう打工人!今日も社長のために稼ごう!」といった皮肉な励ましの言葉を投稿するものでした。アメリカのハッスル文化のミームと同じ勢いですが、皮肉がたっぷり混ざっています。
自虐が連帯を生む言葉です。深センの会社員が自分を打工人と呼ぶとき、「この働き方がばかげているのは分かってる、あなたも分かってる、でも私たちはここにいる」と言っています。起業がもてはやされる国で、それでも大半の人は誰かに雇われて働いている。打工人は、そんな給与生活者の目印です。
卷王(juǎnwáng/ジュアンワン):「内卷の王」=みんなの基準を上げてしまう人
どの職場にもひとりいます。卷王は、夜中の3時にメールを返し、あらゆるプロジェクトに手を挙げ、上司にコーヒーを持っていき、深夜0時より前には帰らない同僚です。生産性が高いとは限りません。周りが見せなければならない努力の基準を上げてしまうだけです。
深センのテック企業では、卷王はおなじみの存在です。みんなグループチャットで愚痴を言いますが(もちろん本人のいない別のグループで)、正面から言う人はいません。そういう衝突が評価される文化ではないからです。中国のテック業界の職場の力学を知りたいなら、卷王の理解は欠かせません。
大厂(dàchǎng/ダーチャン):「大工場」=中国の大手テック企業
直訳は「大きな工場」で、工業的なたとえはわざとです。大厂は中国のテック大手、テンセント、ファーウェイ、アリババ、ByteDance、美団(Meituan)、DJIを指します。深センでは特に、南山区に本社のあるテンセントと、龍崗区/東莞に本拠を置くファーウェイのことです。
大厂に入るのは、中国のテック業界でいえば、日本でいうGAFAMに入るようなものです。給料は相場よりかなり高く、名声も本物、燃え尽きぶりは伝説級です。深センで「大厂にいる」と言う人は、自慢と愚痴を同時に言っています。
35岁危机(sānshíwǔ suì wēijī/サンシーウースイウェイジー):「35歳の危機」
重い話ですが、現実です。中国のテック業界には、35歳を過ぎると雇ってもらえないという広く根づいた(根拠がなくもない)恐れがあります。求人票に堂々と年齢の上限が書かれ、リストラは35歳以上から先に来がちです。高い給料、長い労働時間、年齢による差別が重なって、深センのテック業界の誰もが意識しているカウントダウンができあがっています。
30代前半の人が35岁危机を口にするとき、大げさに言っているわけではありません。計算をしているのです。時計が止まる前に、あと何年分の大厂の給料を貯められるか。不安があまりに率直で具体的なので、外国人が驚く文化の現実のひとつです。
考公(kǎogōng/カオゴン):「公務員試験を受ける」=安全な道
テックの夢が色あせると(35岁危机、リストラ、内卷疲れ)、多くの若い中国人は考公、つまり公務員試験の勉強に切り替えます。公務員の給料はテックより低いものの、安定していて勤務時間も読めます。そしてテックにはないもの、铁饭碗(tiě fànwǎn/ティエファンワン、鉄の茶碗)、つまりクビにならない仕事があります。
競争は桁外れで、ひとつの職に数千人が応募することもあります。深センでは、深圳大学や深圳図書館の近くのカフェが平日の夜に試験勉強をする人でいっぱいになっていて、考公の流れが目に見えます。
润(rùn/ルン):「run」=国外へ移住する、中国を出る
これは繊細な言葉です。润の発音はrùnで、そのピンイン表記を英語のrun(逃げる)にかけた冗談です。意味は移住、中国を出てほかの国へ行くこと。ネット上の議論(検閲にまだ引っかかっていなければ)や内輪の会話で目にしたり耳にしたりします。多くは、内卷と35岁危机と住宅価格を計算して割に合わないと結論を出した若い社会人からです。
大きな声で言う言葉ではありません。それでも深センのバーで夜中の0時、友人同士なら、誰かが半分冗談、半分本気で润の話を持ち出します。実際に行動するかは別の話ですが、この言葉が文化の語彙として存在していること自体が、今の空気を物語っています。
搞钱(gǎoqián/ガオチエン):「金を稼ぐ」
深センのどのオフィスでも、「週末の予定は?」と聞かれたときの自虐的な答えです。華やかではなく、ただ正直なだけ。搞钱は、どんな論考よりも深センと仕事の関係をよく表しています。仕事に情熱があるわけではなく、生き抜くことに現実的なのです。
WeChatのモーメンツの投稿、抖音のプロフィール、机に置いたネタ系マグカップで目にします。ミームですが、本音でもあります。生活費が上がり続け、35岁危机の時計が進み続ける街で、みんな表向きは違うふりをしていても、実際にやっているのは搞钱です。深センの友人に週末の予定を聞いて搞钱と返ってきたら、正しい返事は連帯で、アドバイスではありません。
深センの街で聞く日常の中国スラング
ここからは、深センで実際に自分の耳で聞く言葉です。市場で、タクシーで、友人から、そして下の階で麺の店をやっているおばちゃんから。
牛逼(niúbī/ニウビー):「すごい」(下品だけど誰でも使う)
中国語スラングの万能ナイフです。牛逼は「すごい」「最高」「イケてる」。ただし直訳すると牛の体のある部位を指す下品な言葉です。英語のbadassと同じで、もとは下品でも誰もが使い、たいていの場面で本当に失礼になることはありません。
聞く場面:誰かが新しい車を見せてくれたとき。屋台の店主が中華鍋ですごい技を見せたとき。友人がWeChatのミニプログラムをやっと動かせたとき。返事はいつも牛逼です。
使っていい場面:友人同士や気楽な場なら問題ありません。商談の席や、誰かのおばあさんの前ではやめておきましょう。深センの若い人のあいだでは、英語の「damn」くらいの衝撃です。空気は読みつつ、考えすぎなくて大丈夫です。
加油(jiāyóu/ジャーヨウ):「油を足す」=がんばれ、いけ!
あいさつと数字を除けば、いちばん役に立つ中国語のフレーズです。加油は文字どおり「(燃料の)油を足す」で、あらゆる応援に使います。マラソンを走る?加油!試験勉強中?加油!DiDiを使わなかったばかりにタクシーで500元払うはめにならず、深セン旅行を終えようとしている?加油!
スポーツの試合で、友人から、箸に苦戦しているのを見た知らない人から、誰かがあなたを応援したいときにはいつでも聞こえてきます。いつも温かく、いつも本気で、いつ使っても場違いになりません。この記事から実際に使うフレーズをひとつ選ぶなら、これです。
靠谱(kàopǔ/カオプー):「頼りになる」=信頼できる人
中国の人に靠谱と言われたら、それは本物のほめ言葉です。約束を守り、頼りになり、ドタキャンしない人という意味です。関係(guānxi/グアンシ、人間関係のつながり)が何より大事な文化では、靠谱であることは通貨のようなものです。
反対の不靠谱(bú kàopǔ/ブーカオプー)は、人について言える中でもかなり厳しい言葉です。頼りにならない、怪しい、口だけ、という意味です。あるサービスや業者が不靠谱だと誰かに忠告されたら、真剣に受け止めてください。
AA制(AA zhì/エーエージー):割り勘
英語の「All Average」から来たといわれます(オランダ語説もあり、語源ははっきりしません)。中国の伝統的な食事の文化では、ひとりが全額を払います。体面と気前のよさの問題です。ただ深センの若い人のあいだでは、AA制はごく普通で、誰も気にしません。
ここでは世代と地域の差が大事です。年配の中国人のビジネスパーソンなら、割り勘にしようとすると気分を害します。深センの20代のグループなら、頼む前にWeChatを開いて自分の分を送金してきます。相手を見て使い分けましょう。
打卡(dǎkǎ/ダーカー):「タイムカードを押す」=SNSのためにその場所へ行く
もとは職場でタイムカードを押すことでした。今は投稿するためにその場所へ行くことを指し、日本語でいう「映えスポット巡り」「聖地巡礼」に近い言葉です。去南头古城打卡(南頭古城〔ナントウ古城〕に打卡しに行く)と言えば、そこへ行き、写真を撮り、小紅書やWeChatのモーメンツに載せるという意味です。
深センでは、打卡文化がビジネスモデルそのものを動かしています。カフェは写真映えするように設計され、モールは打卡のためにアート作品を置きます。网红(インフルエンサーで有名になった)レストランの料理はそこそこでも、見た目は写真向きです。
网红(wǎnghóng/ワンホン):ネットの有名人、インフルエンサー
直訳は「ネットで赤い」、つまりネットで人気という意味です。网红はインフルエンサーのことですが、SNSで有名になった場所、食べ物、商品にも使います。网红咖啡ならSNSで有名なカフェ、网红景点なら話題の写真スポットです。
深センでは、网红かどうかでレストランの運命が決まることがあります。抖音の動画ひとつで、ひと晩にして2時間待ちの行列ができます。地元の知恵はこうです。网红の店が半年たってもまだ行列なら、たぶん本当においしい。開店したばかりで、行列がスマホを変な角度で構えた人ばかりなら、3か月待ってからもう一度見てみましょう。
种草(zhòngcǎo/ジョンツァオ):「草を植える」=欲しくなる
小紅書(RED、インスタグラムとPinterestを合わせたような中国のSNS)の文化から来た言葉です。商品のレビューやカフェの投稿を見て、急に自分も欲しくなる。それが种草されたということで、誰かがあなたの中に欲しい気持ちの種を植えたのです。
拔草(bácǎo/バーツァオ):「草を抜く」=実際に買う、行ってみる
种草の続きです。投稿を見て欲しくなり、実際に買うかその場所へ行った。草を抜いたわけです。深センの消費文化では、种草から拔草までがとても短く、昼に小紅書で見たものを夕方には店で手にしています。
拿捏(nániē/ナーニエ):「完璧に決めた」「お見通し」
誰かが何かを完璧にこなしたとき、状況を正確に読んだときに、太拿捏了と言います。外国人が箸を見事に使ったり、なかなかの中国語で注文したりすると、自分に向けて言われることもあります。本物のほめ言葉です。迷いも気まずさもなく、自分のやっていることを完全に掌握している瞬間を表す言葉です。
2025〜2026年の抖音ではどこにでも出てきます。30秒で顔が変わるメイク動画?拿捏。全部の音を外さない路上ミュージシャン?拿捏。カウンターを滑らせたグラスがぴたりと目の前で止まるバーテンダー?太拿捏了。自分に向けて言われたら、素直に喜んでいいところです。
城中村(chéngzhōngcūn/チョンジョンツン):「都市の中の村」
厳密にはスラングではありませんが、この言葉を知らずに深センは分かりません。城中村は、近代都市がまわりに広がる中で生き残った、古くて密集した住宅のかたまりです。狭い路地、絡まった電線、縦に積み重なったネオン看板、どの角にもある屋台。ほかのどこにも似ていない景色です。
深センには何百もの城中村があり、この街の本当の暮らしの多くはそこにあります。家賃は安く、食べ物はおいしく、どのモールよりも個性があります。いちばん有名なのは南头古城(南頭古城)で、城中村の骨格を残したままデザインと飲食の街に改装され、コーヒー店やギャラリーが加わりました。深センのグルメガイドでは、見た目より味で勝負する城中村の店も含めて、深センのいい界隈で食べる場所を紹介しています。
食事で使う中国語スラング
深センでは、思っている以上に食べている時間が長くなります。ここの言葉は、毎回の食事の前にも最中にも後にも出てきます。
早茶(zǎochá/ザオチャー):朝のお茶=飲茶
深センが受け継いだ広東の伝統です。早茶はただ朝にお茶を飲むことではありません。何十種類もの小皿の点心と、たくさんのお茶を前に何時間も過ごす飲茶の時間で、料理そのものより社交の儀式としての意味が大きいものです。家族は週末に行き、平日の朝は商談の場になり、毎日通う年配の人たちにはそれぞれお気に入りの席があります。
深センで早茶の文化がいちばん根づいているのは、もともと広東系の住民が多い羅湖区と福田区です。おすすめの店は深センの食べ歩きガイドにありますが、いちばん大事なのは、早く行く(週末は朝9時前)か、40分待つ覚悟をするかです。
买单(mǎidān/マイダン):「お会計お願いします」
毎回の食事で必要になる言葉です。买单(深センで耳にする広東語由来の書き方なら埋单)が、お会計を頼むときの言い方です。手を挙げて店員と目を合わせ、「买单」と言う。それだけです。気まずい身ぶり手ぶりも、気づいてもらえるのを待つ必要もありません。
(深センのレストランでは、たいていレジかテーブルのQRコードで支払います。それでも买单は、もう帰りますという万国共通の合図です。)
团购(tuángòu/トゥアンゴウ):グループ購入、割引クーポン
本当にお金が浮く、深センの食事の裏ワザです。大衆点評(Dianping、中国版の食べログのようなアプリ)や美団の团购は、食事のセットやコースを割引価格で先に買っておく仕組みで、たいてい2〜4割引きです。アプリでクーポンを買い、店に入ってコードを見せれば、割引価格で食べられます。
深センのほとんどのレストランが参加しています。团购を使わないのは、同じ料理にわざわざ高いお金を払うようなものです。大衆点評の設定は必須アプリのガイドで説明しています。
网红店(wǎnghóng diàn/ワンホンディエン):SNSで話題の店
SNSで有名になった店です。料理がすばらしいこともあれば、まったく平凡なのに見た目だけ写真映えすることもあります。おしゃれな店内と長い行列は、料理の味については何も教えてくれません。並ぶ前に、料理についての最近の口コミを見てください。
排队(páiduì/パイドゥイ):行列、並ぶ
慣れておきたい言葉です。深センでは、いいものには何でも行列ができます。排队があるなら、本当に待つ価値のある料理かもしれないし、昨日抖音の動画がバズっただけかもしれません。状況次第です。昼どきの城中村で、建設作業員ばかりの行列?信じていいでしょう。新しいスイーツ店の前で、リングライトを持った人ばかりの行列?それはあなた次第です。
外卖(wàimài/ワイマイ):フードデリバリー
深センは外卖で回っています。12時15分ごろに福田区や南山区のオフィスビルの前を通ると、ロビーには黄色い美団の箱が壁のように積まれていて、警備員はもう整理するのをあきらめています。配達員は黙ってエレベーターに乗り、QRコードを読み取り、受け取り棚に袋を置いて、ひと言もなく去っていきます。注文から玄関までは、たいてい20〜30分です。黄色い箱の美団が定番で、アリババ系は入り口によって餓了么(Ele.me)か淘宝闪购として表示されます。料理は店で座って食べるものと同じで、アプリ限定のクーポンのおかげで数元安いこともよくあります。
深センの地元の人には誰にでも外卖の習慣があり、あなたも3日目にはそうなっています。
干饭人(gànfànrén/ガンファンレン):「ご飯をかき込む戦士」=食べるために生きる人
食べることに本気な人の自称です。趣味としてのグルメではなく、「このために朝起きている」という意味での本気です。干饭人は店の内装も、盛りつけも、インスタ映えの角度も気にしません。気にするのは、ご飯がおいしいかどうかです。
深センで自分を干饭人と呼ぶのは、冗談でもあり、本気の価値観の表明でもあります。この街には探せばとんでもなくおいしいものがあり、何より食べることを優先する人たちは、たいてい探す場所を知っています。
数字の中国スラング:520、88、233
数字の中国スラングがあるのは、多くの数字が声に出すとよく使う言葉に似た音になるからです。そこから数字の暗号でできたもうひとつの言語が生まれました。ロマンチックなもの、実用的なものがあり、仕組みを知らないとどれも混乱します。
520(wǔ èr líng/ウーアルリン):「愛してる」
我爱你(wǒ ài nǐ/ウォーアイニー)に音が似ています。5月20日(5/20)は、中国ではほとんど2回目のバレンタインデーです。WeChatの紅包(お年玉のような送金)で5.20元や52.0元を送るのは、小さな愛の告白です。カップルはこの日に全力を注ぎます。5月20日に深センにいて、どのレストランも満席なら、理由はこれです。
1314:「永遠に」
一生一世(yìshēng yíshì/イーシェンイーシー、「一生涯」)に音が似ていて、「永遠に」という意味です。520と組み合わせて5201314、「永遠に愛してる」になることもよくあります。WeChatの紅包の金額、車のナンバープレート、ときにはホテルの部屋番号のリクエストでも見かけます。
88:「バイバイ」
拜拜(bàibài/バイバイ)に音が似ていて、これは英語のbye-byeから借りた言葉です。中国の人はチャットを88で締めます。短くて手軽で、誰にでも通じます。日本のネットの「8888」(拍手)とは別物なので注意してください。88と送られてきても、会話を採点されたわけではありません。相手が帰るだけです。
233:笑い
これは語呂合わせではなく、元ネタのある言葉です。中国の初期のネット掲示板のひとつ、猫撲(Mop)で、233番の絵文字が床を転げ回って笑う顔でした。そこから「笑」の意味で233と打つようになりました。3が多いほど大笑いで、23333333ならもう笑いが止まらない状態です。
9527:取るに足らない人
かなりマニアックなネタです。チャウ・シンチー(周星馳)の映画『唐伯虎点秋香』で、主人公が召使いの番号9527を与えられることから来ています。誰かを9527と呼ぶのは「ただのモブ」という意味ですが、たいていは友人同士でふざけて使うもので、本気の悪意ではなくチャウ・シンチーらしいノリです。
555:泣いている
呜呜呜(wūwūwū/ウーウーウー)、すすり泣く声の擬音に似ています。悲しいことや悔しいことがあったときに使います。試験に落ちた?555。外卖の注文がキャンセルされた?555。文字で表すふくれっ面のようなもので、本当に深刻なことに使うことはほとんどありません。
実際に使っていい中国語スラングはどれ?
50語を一気に見てきましたが、実際的なアドバイスはこうです。全部使おうとしないでください。不自然でわざとらしく、記事を読んだのが誰にでもばれてしまいます。
まずはこの3つ。いつでも安全です。
- 加油:何かを頑張っている相手に、いつでも誰にでも言えます。リスクはゼロです。
- 666:誰かがかっこいいことをしたら、どのグループチャットでも打ってみましょう。すぐに仲間に入れます。
- 88:地元の人のようにWeChatの会話を締められます。
慣れてきたら加えたいもの
- 牛逼:強い言葉ですが下品です。まずは友人同士で。相手が使っていたら、こちらも使ってかまいません。
- 打卡:写真を撮るためにその場所へ行くなら、そう呼んでしまいましょう。中国の友人はその自覚を面白がってくれます。
- 团购:これは文字どおりお金が浮きます。中国の友人にレストランを聞くときにこの言葉を使えば、大衆点評の裏ワザを教えてくれます。
会話を深めるために使うもの
- 内卷と躺平を使えば、中国の友人はあなたが自分たちの暮らしを分かっていると思ってくれます。気軽な言葉ではなく、プレッシャー、期待、今の中国でいい暮らしとは何かについての本当の会話への入り口です。
- 大厂と35岁危机は、テック文化が中心の深センならではの言葉です。テック業界の人との会話で出せば、観光客向けの話ではなく本当の経験を話してくれます。
数字の暗号は楽しいけれど、場面を選びます
- 5月20日の520、チャットの終わりの88、面白いときの233。必須ではなく、彩りです。
最後にひとつ。中国語スラングには半減期があります。あなたがこれを読む頃には、绝绝子はもう古く聞こえているかもしれないし、このリストのどれかが新しい抖音の言葉に置き換わっているかもしれません。それでかまいません。内卷、躺平、打工人、摆烂のような構造的な言葉はなくなりません。ネットの略語は入れ替わっても、その下にある文化の語彙こそが本当の解読表です。
深センでいちばん使われている言葉は、標準中国語でも広東語でも英語でもなく、その三つが混ざり、ネットスラングが散りばめられた、40歳未満の人たちが実際に話している言葉です。その一部を分かるだけでも、相手の話し方が変わります。食べ物を注文できるだけの観光客ではなく、分かっている人、少なくとも分かろうとしている人になれます。中国では、それが大きな意味を持ちます。
言葉の層の先にある、深センの文化と現地のリアルについては、外国人が戸惑う体の感覚、人づきあい、段取りの驚きをまとめたガイドがあります。スラングを食事の席で試したいなら、ここに出てきた言葉の半分を実際に使うことになる深センのグルメガイドをどうぞ。
よくある質問
YYDSってどういう意味?
YYDSは永远的神(yǒngyuǎn de shén、ヨンユエンダシェン)のピンインの頭文字で、直訳は「永遠の神」。英語のGOAT、つまり「史上最強」にあたる中国のネットスラングです。2021年ごろにゲームのチャットから広まり、今では行列の絶えない火鍋店からジェイ・チョウ(周杰倫)まで、何にでも使われます。
666は中国語でどういう意味?
666(liùliùliù、リウリウリウ)は「すごい」「うまい」という意味です。「なめらか」「手際がいい」を表す溜(liū)と発音が近いことから来ていて、誰かがすごいことをやってのけると、ライブ配信のコメント欄やWeChatのグループが666で埋まります。6が多いほど感心している度合いが大きくなります。
内卷(ネイジュアン)とは?
内卷(nèijuǎn、ネイジュアン)は、全員がもっと頑張っているのに誰も前に進めない、勝者のいない消耗戦のような状態を指す言葉です。英語ではinvolution(インボリューション)と訳されます。今の中国でいちばん語られている社会の概念で、仕事、教育、競争の話になれば必ず出てきます。
中国旅行で知っておきたい中国語スラングは?
まずは牛逼(niúbī、すごい)、666(リウリウリウ、うまい)、加油(jiāyóu、がんばれ)、内卷(ネイジュアン、終わらない競争)、打卡(dǎkǎ、SNSに載せるためにその場所へ行く)の5つです。深センではどれも頻繁に耳にします。
外国人が中国語スラングを使うと失礼?
失礼ではありません。正しく使えば、たいていの中国人は外国人のスラングを面白がってくれます。危ないのは使い方を外すことで、半年前に流行っていた言葉がもう寒く聞こえることもあります。いつ使っても安全なのは666、加油、打卡。内卷と躺平は仕事の話の中で使えば、言葉の裏にある本当の苛立ちを分かっていると受け取ってもらえます。抖音で一度見ただけの言葉をまねるのはやめておきましょう。
変更履歴と見直しの予定開く
事実確認
2026年6月17日
内容の更新
2026年10月16日
初回公開
2026年10月16日
次回の見直し予定
2026年9月15日
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